-イトウ選抜コース(2)-「管理釣り場のイトウの習性」

いないいないぱあ

2008年05月06日 23:46

魁!ミノー塾☆-イトウ選抜コース-
二時間目は、

「②.管理釣り場のイトウの習性」
です。
管理釣り場初心者向けです。

本記事の「注意事項」は、前回と同じ、下記のとおりです。
(※注1:気まぐれなので、思いつきです。)
(※注2:思いつきなので、もう書かないかもしれません。)
(※注3:記事は私の主観で書きますので、どっかで間違ってるかもしれません。)


本シリーズ(?)稿、初めてご覧になる方は、
まずこちらをご覧ください。

(一時間目)魁!ミノー塾☆-イトウ選抜コース-

さて、前回(一時間目)は、信頼できる文献やサイトの記述を基に、
「①.イトウってどんな魚?(自然下でのイトウの概要や習性)」を明らかにしたのでした。

管理釣り場のイトウもイトウであることには変わりないので、
「基本的な習性は同じ」といえます。

しかしながら、管理釣り場のイトウは養魚場で育てられており、
かつデカクて目出つ巨体と相まって、放流後は
年がら年中、ルアーやフライで狙い続けられるわけです。
したがって、自然下でのイトウとは習性が異なるケースが
多々でてくると考えられます。


管理釣り場ならではのキーワードはこちら
・養魚場
・放流
・ペレット
・ハイプレッシャー
・学習効果



1.管理釣り場のイトウの特徴

さて、管理釣り場特有の習性を明らかにする上で、
避けて通れないのが、「管理釣り場特有の要素」です。
箇条書きにしつつ、補足をしていきましょう。

【1】.放流サイズのアベレージは50~70cmぐらいである。

1m前後の超々大物が存在する管理釣り場は、極めて限られます。
公表されている実績で見る限り、現時点では「東山湖」「川場FP」の2箇所に絞られると推測していますが、
この2箇所にしても、常に存在するわけではなく、
年に何本か放流される程度だと思われます。(理由は後述します。)
多くの釣り場で放流されているほとんどのイトウは、50~70cmぐらいの大きさであると思われます。
とはいえ、普通のマス類が20cm~30cm級、40cm超ともなれば、
十分「大物」と呼ぶに値することを考えると、かなりデカイです。
イトウ=巨大化する・・・という固定観念があるわけで、
このぐらいのデカイサイズでないと、夢がない・・すなわち、お客さんを引きつけられないという
ことなんでしょうね。


【2】.孵化率が低い

養殖の歴史が長く、長年研究や品種改良が重ねられたニジマスとは違い、
イトウの孵化率はかなり低いです。
(・・なんせ初めて養殖に成功したのがつい16年前ほどです。快挙を成し遂げた那須FLの
4時間の釣り券ですが、なんと15,000円!
それでも満員御礼状態だったそうで、当時、イトウという魚がいかに幻で夢の持てる
魚であったかがうかがわれます。)

【3】.成長が著しく遅い

自然下でのそれよりは早いようですが、それでも1年に10cm程度のようです。
この成長速度は、養殖技術や品種改良の進んだニジマス類の2~3倍遅いものです。
上記放流サイズにまで育てるのに、たっぷり5~7年はかかる計算になります。

【4】.つまり、仕入れ値が非常に高価である

上記【1】【2】【3】の結果、当然のことながら、仕入れ値は「非常に高価」になってしまいます。
孵化率が低い→稚魚の価格が高価
成長が遅い→「餌代」「電気代」がかかる→高価になる。
大きいサイズで放流しなければならない→加速度的に「エサ代」がかかる。→一段と高価になる。

という図式ですね。
最近は原油高→エサ代高騰・・の流れが、更に仕入れ値の高騰に拍車をかけているようです。
市販されている小売価格から、仕入れ値の違いを推測してみました。
小売市場の特性を考慮し、原価率を若干変えて
計算しています。

・標準サイズ(20~25cmのニジマス)

→小売価格=200円(近所のスーパー調べ)
→原価率=40%
→仕入れ価格=80円
  

・イトウ(75cm)
→小売価格=25,000円(楽天調べ)
→原価率=30%
→仕入れ価格=7,500円


上記数字が概ね正しいとすれば、
釣り場から見て、
「イトウ1匹=標準サイズのニジマス約94匹」
が「同じ仕入れコスト」ということになります。
勿論実際の釣り場では、釣り場としての人件費や場所代、設備の減価償却費や光熱費を+して
コストを上乗せ計算しなければなりませんので、
イトウ・ニジマス共、私達お客へ提供するコストは更に高価になります。

  
【5】.結果的に、放流数が非常に少なくなる。

上記【4】から当然、こうなります。(苦笑)

ついこの間まで、大物イトウで名を馳せたいくつかの管理釣り場が、
短期間で大型化する(・・・育てるのに比較的金のかからない)
「ヤシオマス」や「ドナルドソン」に次々シフトしているのをみると、
なんだか寂しいものがあります。
私はおりにふれてイトウに優しいタックルを・・・的なことも書いていますが、
それは「魚のため」だけにあらず
私達に釣りの場を提供してくれる「釣り場のため」でもあり、
巡りめぐっては、「私達釣り人のため」でもあるのです。

放流翌日の釣り場に行くことがあると、
ライン切れでルアーをくわえたまま、エサを獲れなくなったイトウ
目玉の潰れたイトウ、
全身火傷で体が白くただれたイトウ、
傷だらけで血まみれのイトウ等
をみかける機会が多くあり、
暗澹とした気持ちにさせられます。
次の週には彼らはいません。死んでしまうからです。
仕入れ値が7,500円です。一日の釣り券より高いです。
その7,500円が、心無い一部のお客の行動で、多くの釣り人の相手をしてくれることもなく、
キープして食べることで「やあ、美味しかった。血肉になった。」と満足感を生むこともなく、
池の上をプカプカ腹を見せて浮いてるとしたら・・・
釣り場的にはやってられないですよね。 
もう放流すんのやめて、安い魚にシフトしちゃおうか?て発想にもなるでしょう。



さて、「放流量が非常に少ない」というのが結論ですが、
この要素がイトウの習性に与える影響は大きい のです。



2.管理釣り場には4種類のイトウがいる?

学術的には勿論1種類なんですけど、
4種類いるんじゃないかと思うほど性質が違ってくるわけです。
これは私の推測ですが、
おそらく、放流されたイトウは、放流の絶対数が少ないこともあいまって、
「1~2日中に残らず釣り獲られてしまう」という事実があるとみています。
勿論その多くはリリースされるわけですが、
釣り獲られ、リリースされた時の状態により、
その後の性格形成に多大な影響
があると考えられます。
下図を参照願います。


DXが、イトウの状態(疲労度)をあらわしています。
放流直後等一度も釣られたことがなく、ルアーを知らない状態は疲労度A
ダメージが蓄積し、死を待つだけの状態が疲労度DXです。


『疲労度A』
放流直後というか、一度も釣られたことのない状態になります。
「イトウ本来の習性」がハッキリ出やすい状態です。


『疲労度B』
針がかりしたが上手く振り払った、一度釣られはしたものの、
釣った人のタックルが適切で寄せが上手、陸揚げされずに素早くリリースされたような場合、
この状態に遷移すると考えられます。
ルアーに対する学習はしているので、状態Aに戻ることはないです。
すなわち、本来好むべきものを好まなくなる。。といった習性変化が見て取れます。
しかしながら、十分釣り上げることが可能、「釣れるかどうかは腕次第☆」という状態で、
いわば、釣り場の対象魚としてある意味「最も良好な状態」といえます。
たとえ釣られた日の翌日であっても、ルアーを(警戒しつつとはいえ)追いますし、
上手く誘うことができれば釣ることが可能です。

なぜこんなことを言い切れるか?といいますと、
実際、二日連続で同じ個体を釣ったことがあるからです。
顔に特徴的なシミ等があったので、
「おお!お前は昨日の!?」
と気がつきました。



『疲労度C』
HP=0。すなわち重傷の状態です。
一度釣られ、バーブ付フック(返しのついた釣り針)やトレブルフック(3本碇型の釣り針)で
口に広範囲の傷を負い、
又はシングルフックでもかかりどころが悪く、ダメージが大きいため、
しばらく回復できない状態であるといえます。

ルアーの届かない沖や障害物下等でジッと底に沈み、
全く口を使わなくなります。傷をいやすのに専念するわけです。
元気になり、復活するまでには、たっぷり1~2週間かかるような状態です。
復活すると釣り上げることは可能です。
但し、傷跡は完全には直っていないことが多いようです。
(・・膿んでいる場合もあります。)

例)上あご部分に先行者の針がかりの跡。
  3本碇(バーブ付?)のトレブルフックがガッツリ刺さった傷跡。
  膿んできており、直りそうもない。





『疲労度DX』
HP=マイナス。危篤の状態です。もう釣れることは限りなくありません

・ラインブレイクし、ルアーが口についたままとれない。
・お腹側のトレブルフックでヒットしたが、お尻側のトレブルフックが暴れた際に目玉に突き刺さって失明。
・地面に転がされ、全身に傷や火傷を負った。
・写真をとるのに長々と手で掴まれ、全身に火傷を負った。
 (・・人間の体温36℃は、イトウにとっては大火傷をする高温になります。)
・釣られた後酸欠状態なのに、人工呼吸を施されず、ただそのまま池に放された。

これらの魚はしばらく(2~3日)はかろうじて生きている場合もあるようですが、
次の週行って見るとまずみかけません。死んでしまうと思われます。プカプカ浮いてるのはよくみかける光景です。



3.フィッシュイーターの好む獲物について整理する

4種類のイトウ(状態A、B、C、D)を見て来ましたが、
更にプラスして「活性状態(食欲・・かな?)」という要素があります。
すなわち、「状態A」であっても活性の高い低いで行動は変わります。
また、回遊していても「状態A」と「状態B」で行動は違います。
ただそこまで踏み込んで整理しようとするとやたら複雑でわかりにくいですから、
その点は無視して述べていくとします。


俗にフィッシュイーター(肉食魚)の好む動きがあるといわれます。
肉食魚は必ずしも、捕食が得意なわけではなく、小魚に逃げられることも圧倒的に多いのです。
わかりやすいのがアマゾンにいる地上最強の淡水魚「ピラニア」で、
群れで元気に泳いでる魚は襲わないそうです。
彼らは頑丈な顎やナイフより鋭く多い歯と引き換えに、不恰好な体で泳ぎが下手であり、
かつ圧倒的な力強さと引き換えに、消費するカロリーも多いため、
「捕食行動のミスで無駄なカロリーを消費することを極力避ける」
習性があるからだと思われます。
実際、ピラニアを釣るには、木の枝で水面をバシャバシャたたく!ことから始めるという
通常では考えられないメソッドを用いるそうです。
弱った獲物が水中でもがいている様子を演出し、
食べやすくてデカイ獲物がいるぞ~!と誘うわけですね。
すなわち、フィッシュイーターは、
以下の3つの小魚を好みます。


【好む小魚その1】.群れから離れパニックに陥った小魚

俗に、「パニックベイト」と呼ばれる存在です。
小魚は群れで行動し、お互い連携することで、フィッシュイーターの危険を
広範囲に、察知します。
単独になってしまうと察知能力がガクンと陥り、危険を感じてパニック状態に陥るわけです。
冷静さを欠いているわけですから、フィッシュイーターにとって
捕食確率の高い獲物ということになります。


【好む小魚その2】.ぼーっと無警戒で泳いでいる小魚

すーーっとさしたる動きもなくゆっくりまっすぐ泳いでいる状態は、
その小魚が無警戒で泳いでいる状態です。
全く泳がないルアー、「スティックベイト」がよく釣れるというのは、
この無警戒な小魚と同じ動きであるからと推定できます。


【好む小魚その3】.弱りきっていて死にそうな小魚

いうまでもなく、フラフラと動きがウルトラ鈍い小魚。
フィッシュイーターにとって栄養万点かどうかは?が残りますが、
捕食しやすいという点では、NO1になりますでしょうか。
しかしながら、必ずしも第一に好まれる対象ではないようです。
(・・病気持ち?と疑っているのかも^^;)



4.管理釣り場のイトウが好むエサは何か?


さて、上記「好む小魚その1~その3」のうち、
4種類のイトウはどの小魚を好むのでしょうか?
過去1年間の経験則上、種類により、明確に異なると見ています。


『状態A』
一度も釣られていないこの状態のイトウは、
本来持つ習性がダイレクトにでます。
小魚だけでなく、ネズミやヘビ等、口にはいるものはなんでも食いつく
獰猛で攻撃的な魚です。
獲物が大きい、強い等関係なく、ボリュームを重視するわけです。
かえってネズミ等大き目の獲物の方が、泳ぎが上手くない分、捕食ミスが少なく、
カロリーの高い獲物と考えているのかもしれません。
すなわち小魚でいうと、
圧倒的に、「パニックベイト」を好みます。
パニックベイトの動きは激しいので、光の明滅も激しいはずです。
すなわち、金銀といった派手な色彩が生み出す光の明滅を好みます。
魚ではないですが、ペレットは好みます。
養魚場出身だからです。


『状態B』
ダメージは少なめとはいえ、
一度釣られて学習しています。
どうも派手に動く物体は危ないな。。エサではないな。。という知恵がつきます。
激しく動くもの、金銀チャートによる明滅を持つ物体
といった本来好むはずの対象を
逆に嫌います。
とはいえ、生まれつきの習性はどうしても残るようで、
傷が癒える(時間が経つ)につれ、
「パニックベイト」を好む割合も増えてきます。
魚ではないですが、ペレットは好みます。


『状態C』
ダメージが大きいので、
捕食行動を行いません
とはいえ、徐々に傷が癒えて元気をとり戻していくにつれ、
捕食行動をとるようになってきます。
とはいえ、一度生命の危機を強く感じているからなのか、
激しく動くもの、金銀チャートによる明滅を示す本来好むはずの対象は
激しく嫌います。不自然な対象は嫌います。

すなわち、「弱って死にそうな小魚」や「ペレット」
場合により、捕食してみようかな?
といった行動をとります。


『状態DX』
捕食行動はとりません。
生きているだけでいっぱいいっぱいです。
管理釣り場では、底に沈んでジーっと動かないか、
ルアーの飛んできにくいゾーンで、中層をボーっと浮いています。
たまに回遊している場合もありますが、心ここにあらずといった感じで、
何にも興味を示しません。
2~3日中に、寿命が尽きてしまいます。


5.まとめ

本稿の趣旨は、
「②.管理釣り場のイトウの習性」でした。

まとめると以下のようになります。

・管理釣り場のイトウは、放流後、1~2日で一度釣られてしまう
(※注:水質が極めて悪く、魚がPH(ペ-パー)ショック等で慣れるのに時間がかかるような環境の場合を除きます。)
・釣られた時の釣り人の扱いにより、状態B状態C状態Dに遷移する。
 各状態における習性(好む捕食対象の動き)は大きく異なってくる
非常に高価な魚であり、放流数、放流回数は極めて少ない
また放流時期も企業秘密に近く、予告をする釣り場も少ない。
・したがって、釣りをする場合、ほとんどのケース
 状態B状態Cの魚を相手にすることになる。




・・さて、対象魚である「管理釣り場のイトウ」の習性がわかったところで、
これらを釣るために必要な準備の第一歩、
すなわち「タックル(釣り道具)」選択を考えていくことにしましょう。
いうまでもなく、状態AやBの比較的良好な状態のイトウを相手にする場合でも、
「戦略の差、戦術の差、現場でのテクニックの差は明確」
に出ます。
釣れない人は何をやっても釣れませんし、
釣れる場合もその本数に大差が出るのがイトウ釣りです。
私の通う釣り場には、イトウ釣りのエキスパートとも呼べる方達が
何人かおり、
その方達と同じ時間帯に釣りをすることで、
上記事実を認識するに至っています。

タックルの選択は、戦略(現場に臨む前の事前準備)に相当します。
そもそも対象魚の数が圧倒的に少ないわけですから、
「短期決戦」で並み居るスゴ腕のライバル達を出し抜き、
目指す対象魚を釣り上げるには、万全ともいえる事前準備が欠かせないわけです。

てなわけで、次回の「魁!ミノー塾☆-イトウ選抜コース-」は、
「③.狙って釣るためのタックル選び」です。
(たぶん。)


長文を書いたのですっかり疲れてしまいました。^^;。。
第3回は、しばらく書かないかもなので、
もし本シリーズ稿に興味を持たれた方がいらっしゃいましても、
期待しないで待っていてください。

では☆

日本ブログ村「釣りブログランキング」に参加ちうー。
この記事を気に入ってくださった方は、ポチッと「1クリック」、よろしくお願いいたします。
↓↓↓


にほんブログ村 

 

関連記事